良書報告、2020年1月。
2020年の目標のひとつは「読んだ本を記録する」ってことなので、2020年1月の良書報告はじめます〜。(今月読んだ本の中で、良かった本だけ書きます)
今月は12冊の本を読んだけど、間違いなくKindleセールが原因。今年もKindleにお世話になりそうです。
1、ガブリエル ガルシア=マルケス『百年の孤独』
今年の初読みでした。
この本はコロンビアのある家族の栄枯盛衰に関する物語で、だれしも忘れられるという当たり前だけど信じたくない事実を重厚な文体で描ききってます。
まず、文章にシビれた。そして、血が繋がっているからこそ世代を超えて似ている側面がある一方で、ほとんどのことは子孫の記憶から遠のくという摂理が沁みた。
誰もが孤独なことくらい、今までの人生で経験済みである。そこに塗り重ねるように、どれだけ親が子を願ってもそれは一方的な愛であること、経済や政治みたいな見えざる手に人は左右されることなどを丹念に説明されると、悲しいほどに精神が打たれる。誰もわたしのことを心から大事に思っていないのでは、と暗闇に放り出され、不安にさいなまれる。だけど読後感は爽やかで、自分の暮らしと向き合うべき覚悟のようなものを与えてくれた。
正月休みに祖母の隣で読めたことで作品の深みをさらに感じれたし、幸先の良い1年になりそうです。
2、ジョージ・オーウェル 『動物農場』
とはいえ『百年の孤独』は読むのに骨が折れるので、合間にちょこちょこ読んでたのが、オーウェルの『動物農場』。
表題作も良いけど、同時収録の『象を射つ』がビジネスマンとしての私にめっちゃ刺さった。社会の操り人形やなー、と思ったことある人は読んだ方がいい。背筋ゾクゾクする。
悲観的なこととか尖った考えとかでも、嫌味なく描いてるオーウェルさん、本当に天才で憧れる。
3、テッド・チャン 『息吹』
言わずもがなの話題作ですが、噂どおり面白かったし感動した。著者の本は初めて読んで、あまりの面白さに『あなたの人生の物語』もすぐさま読みました。ファンです。
テクノロジーと人間の心情のズレを徐々に読み手に気づかせる優しさに惹かれた。世界観を強要するんじゃなくて、生きるための論点を気づかせてくれるSFなんですよね。文字を追いながら無意識の意識をかき回されるのが快感で、ぐんぐん読んでしまった。
あと、筆者の作品へのアプローチって、ものすごくビジネス視点だな…!と思ったので、新しいこと考える仕事をしてる人にはおすすめ。違和感の掘り下げ方とかイメージの膨らませ方とかすごく勉強になりました。
4、ナオミ・オルダーマン『パワー』
オバマとエマワトソンが勧めていた、という安直な理由で読み始めたけど、やはり面白かったフェミニズム小説。
女の子だけが特別な力(=パワー)を持ったら世界はどう変わるのかを、痛烈にドラマチックに描いている。(っていうか、ディストピア小説だったとは!)
映画『ジョーカー』を見たときも思ったけど、主人公の設定が「ふつうじゃない」と成り立たない物語って、リアルな怖さを感じる。『パワー』の女性たちがしたことって、今まで男性がしてきたことの裏返しだからね。女性じゃないと話が成立しないって、ほんとうに今まで歴史が狂ってたんだなと。
キャリア上昇志向の人には刺さるかもしれない。少なくとも、わたしは刺さった。強く生きるとか、自分らしく生きるとかよく言ってるけど、その前にスタートラインに立てなくなる可能性を忘れないようにしたい。
番外編
その他の読み物。
・川端康成『雪国』
日本語って美しいな、と思わせてくれる無駄のない文章。駒子の意思強いのに一歩引いちゃう性格とか、良くも悪くも日本人っぽくて愛おしかった。日本人ってダメ人間が好きですよねえ。
ちなみに、温泉×Kindleが最高に合うことを発見してしまったので、ご報告します。露天風呂なんて入っちゃうと、時間が無限に溶けます。これは紙の本では成し得なかった至福体験です。雪景色を見ながら温泉に浸かり、極上のリラックスムードに包まれて本を読む。めちゃくちゃ良かった。
以上、1月良書報告でした。
今月もたくさん読んで、いろんなことに気づこう。